[一覧]
光合成反応中心の機能と進化 伊藤 繁 
物質理学専攻(物理)教授 (G研)
光合成反応中心の機能と進化
光合成反応中心の機能と進化
約2万4000個の原子からなる光合成光化学系・反応中心をX線結晶回折によって解析した。

A:膜面垂直方向からみた反応中心内部の分子種の配置。光を集める周辺クロロフィルa(緑色)と電子移動に関与する中央部のクロロフィルa(赤色)、矢印で示す藤色部分はフィロキノン、黄色はカロテノイド、黄色の四角は鉄硫黄センター。

B:膜面に水平方向から見た内部分子の配置。中央部分を下から上に、クロロフィル(赤色)から鉄硫黄センター(黄色四角)に向かって電子が動く。

C:分子量25万(24サブユニット)のタンパク質部分を加えた葉緑体膜中の反応中心の全体像。
 光合成は地球に酸素大気をもたらし、呼吸は酸素に支えられます。27億年前ごろに始まったシアノバクテリアの酸素発生光合成がこの共生環境を生み出しました。その前10億年、低酸素の大気中で生まれた生命は、進化し、光合成をうみだしました。光エネルギーの入り口は微小なタンパク質と色素の複合体で、これを「光合成反応中心」とよびます。私の研究室では光合成反応中心の動作原理と進化を研究しています。
1985年、酸素を出さない原始的な光合成をする細菌の光合成反応中心の構造が初めて示され、2001年には、植物とシアノバクテリアの酸素発生光合成に働く2種の光合成反応中心の構造が明らかになりました。私たちの研究する植物型光化学系・反応中心(左図)では、光エネルギーは外側の約90分子のクロロフィル(左図緑色部分)に吸収されます。吸収された光エネルギーが分子間を0.01ps(1ps=1兆分の1秒)ほどで順次移動した後、中核部分のクロロフィル(赤色)に伝わり、3psで電子の流れに変わるのを観測しました。
私たちの研究室は、光合成反応中心の原理に迫る一方で、さらに既知の生物では見られない新型光合成の発見にも成果を挙げています。1兆分の1秒の実験から38億年の生命進化の謎を解き明かしたいと私たちは考えています。
地球と生命の共進化 「光合成反応中心」の原理 未知の光合成の発見
この記事の載っている広報誌  PDF (4.5MB)
close
All Right Reserved, Copyright(C)2004,Nagoya University.