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化学反応で変わらない物質の最小単位は原子です。原子核は原子の中心にある小さな塊で、正の電荷を持ち、原子の質量の大部分を担っています。この小さな塊は陽子と中性子(総称して核子と呼ぶ)の集合体で、まとめている力が核力です。日常生活でもなじみ深い重力や電磁力と比べると、核力は桁違いに強いのですが、到達距離が原子核の大きさ以下と極端に短い力でもあります。この力の正体を明らかにする第一歩となったのが湯川秀樹の中間子論でした。核子や中間子は20世紀中頃まで素粒子と考えられていましたが、現在ではさらに基本的な素粒子と考えられているクォーク、反クォーク、グルーオンの複合系であることがわかり、総称してハドロンと呼ばれています。
    講演では、湯川理論に始まる核力の研究を軸にして、ハドロンのクォーク模型から、その基礎理論として確立した量子色力学、さらにこの力学を数値的に扱う手法としての格子ゲージ理論に至るハドロン物理の進展を、わかり易く紹介していただきます。