大学院生からのアドバイス

私は学部四年生時、細胞内の小さなタンパク質がどのようにして生物という大きな系を制御しているのかに興味があり、タンパク質の構造と機能の相関を直接可視化出来る技術のある生体分子動態機能研究室(D研)に配属しました。そして引き続き研究がしたいと考え自己推薦入試を利用して同研究室に進学しました。大学院進学を考えているといっても様々な方がいると思います。やりたいことが明確で希望する研究室が決まっている方はそのまま突き進んで何も問題ありません。何となく進学の気持ちはあるが特別やりたい研究があるわけでもなく迷っている方、一度研究室に見学に来てみてください。大学が主催する公式のものでもいいですし、各研究室のHPから個人的に連絡を取るのでも構いまいません。HPを眺めるだけでは分からない、感じられないものが沢山あると思います。教授・大学院生との会話から新たな考え・興味が生まれるかもしれません。「迷惑じゃないかな」なんて考える必要はありません。訪問者を受け入れる立場になって分かったのですが、自分たちの研究に興味を持ってもらえるのは非常に嬉しく、見学はむしろ大歓迎です。皆様が魅力を感じられるような研究と出会えること、そして大学院での研究生活がより実りあるものになりますよう願っています。受験頑張ってください。 

物質理学専攻(物理系)
博士前期課程 2年 (R2年度入学)

物理学教室の大学院入試は一般入試と自己推薦入試の二つの方式があります。私は自己推薦入試で合格しましたが、入試に向かう心持ちは同じなので、どちらの受験の参考にもなれば幸いです。一般入試では主に学部で習った物理基礎科目のテストと面接を行います。相応の点数を取らないと合格できませんが、問われることは基礎ですので今後の研究生活のためと思って時間をかけて勉強することをお勧めします。私が入った理論宇宙物理学研究室での研究は、あらゆる物理の知識を総動員しますので、一般入試を見据えて基礎を学び直したことは卒業研究に取り組む際に役立ちました。自己推薦入試は一般入試と違い、筆記試験はありません。評価されるのは学部時代の成績や研究に対する動機と試験当日の面接(口頭試問)です。特に自己推薦というのは自分を希望研究室に推薦するわけですからモチベーションが重要です。やりたい研究がまだわからない人もいると思いますが、大学院入試説明会では最大で4つの研究室に直接行って先生方から研究の話を伺うことができます。他大学からの受験は先生と事前に顔を合わせておくと研究室の印象がわかるので、このような機会を是非利用しましょう。

素粒子宇宙物理学専攻(素粒子宇宙物理系)
博士前期課程1年 (R2年度入学)

私は学部3生の時にMRI (磁気共鳴画像診断)に興味を持ち、その原理であるNMR (核磁気共鳴法)を用いた物性研究を行っている固体磁気共鳴研究室(I研)に4年次の配属を希望しました。大学院でも継続して研究したいと考え、自己推薦入試を利用して博士前期課程に進学しました。研究室では、学生各自がそれぞれのテーマに沿って実験をしているため、学生同士による実験に関する議論が異なる視点から行われます。そのため、学生が主体的に研究を行う上で必要な力を身に付けることができます。 私はNMRスペクトルの形状の解析から遷移金属化合物の低温での電子状態や結晶構造を決定する研究を行っています。この研究は銅酸化物超伝導体や鉄系超伝導体に次ぐ超伝導発現機構の発見につながると考えています。研究室にはトポロジカル絶縁体など、他の物性物理学の最先端の研究を行っている大学院生もおり、研究テーマは多彩で教員と相談しながら、自分が実験の主役となり、その指針を決めることができます。実際、研究目的に向かって、どのような実験をすべきかを試行錯誤の日々です。自分が行った最先端の実験結果を自分が一番に知ることができるのが物性実験の魅力と感じています。このように、配属直後から自分のテーマを持ち実験に参加し、その魅力を肌で感じることができました。ぜひ、一度研究室に見学に来てください。 

物質理学専攻(物理系)
博士前期課程 1年 (H31年度入学)

私は他大学から自己推薦入試を受験し、大学院から天体物理学研究室(A研)に入りました。もともと学部では宇宙物理の実験系研究室に所属しており、大学院でも宇宙物理系の研究室に行きたいと考えていたので、宇宙物理系の研究室が充実している名古屋大学に魅力を感じました。しかし、外部から見ると他大の研究室はわからないことが多く、少しハードルが高く感じられます。パンフレットやホームページを見るだけでは、中の様子はよくわかりません。そこで私は実際に研究室訪問をして、先生や学生の方から直接お話を伺いました。初めてでかなり緊張して行った記憶がありますが、皆さま親切に対応してくださいました。そして研究室の雰囲気や、学生が主体的に活動する様子が印象的で、自分もこの研究室に入りたいという気持ちが強くなりました。また、大学院説明会も志望研究室を考えるうえで非常に参考になりました。この説明会では、いくつか研究室を回って説明を聞くことができ、入試のアドバイスもいただくことができました。これは入試情報を得る貴重な機会だと思います。直接見て聞いてみなければわからないことも多いので、ぜひこのような機会を利用して、本当に行きたい!と思う研究室を探してみてください。 

素粒子宇宙物理学専攻(素粒子宇宙物理系)
博士前期課程1年 (H30年度入学)

私は自己推薦入試を利用して、学部4年生の頃から所属していた物性理論研究室(S研)に進学しました。現在は研究の楽しさにはまって、博士後期課程に在籍しています。物性理論を選んだのは、超伝導、超流動、磁性・・・を初めとして未解明で新しい物理現象が毎日のように報告されている中、「こんな多種多様な物性現象の中にも、何か普遍的で面白い物理法則が潜んでいるのでは?」と興味を持ったことがきっかけです。しかし喜ばしいのか嘆かわしいのか、物性系の研究室は全国に無数に存在します。どの研究室に進学しようかという悩みは、なかなか解決に至りませんでした。そこで自大学・他大学問わず、各地の研究室に足を運んでそれぞれの研究室の雰囲気や環境を自分の目で見て確かめてきました。そんな中、若い先輩方が世界最先端の研究を行って生き生きと活躍されていた姿、研究室のメンバーが自由に議論を交わし、明るく和やかな雰囲気が漂うセミナー室や居室の光景に大きく惹かれ、そのまま名古屋大に進学することを決めました。実際に研究室に入ってみると、研究の内容ももちろんですが、毎日過ごす研究室の雰囲気や環境がとても大切であると実感できます。是非一度、興味のある研究室を訪れて実際に自分の目で確かめに行ってみて下さい。自分の研究で新しい理論を見つけた時はとても感動的です!一緒に名古屋大学で研究生活を目いっぱい楽しみましょう!受験、頑張ってください。

物質理学専攻(物理系)
博士後期課程 1年 (H29年度入学)

私は、他大学から自己推薦入試を受験して名古屋大学に入学しました。私が所属する宇宙地球環境研究所は様々な分野の研究者が共同で研究をしており、地球・太陽・宇宙という広い視点で日々研究をしています。私はもともと地球磁気圏周辺で起きるサブストームに興味を持ち、太陽活動やオーロラの研究が盛んに行われている、太陽宇宙環境物理学研究室(SST研)を志望しました。大学院では最先端の研究の話や英語でセミナーを行うなど、学部の時よりも毎日良い刺激を受けています。はじめは研究者の方が発表する内容は正直全然わかりませんでしたが、日々の勉強で自分の知識も高まり、少しずつではありますがわかることが増えてきて自分の成長を感じ、今の研究のモチベーションにつながっています。どの研究室を受けようか迷っている方は、個人的に自分の志望している研究室を訪ね、どのような研究を具体的にしているのか、また大学院生の生活はどのようなものなのかなど、教員の方の話だけでなく在学している学生の方にも話を聴くことをお勧めします。また、研究室説明会も開かれているため参加されるといいと思います。興味のある方はぜひ受験してみてください! 

素粒子宇宙物理学専攻(宇宙地球物理系)
博士前期課程 1年 (H28年度入学)

他大学から自己推薦入試を受験し、光生体エネルギー研究室(G研)に入りました。以前から光に興味があった私は、光合成が如何にして電子やプロトンを動かして水から酸素を作り出すのかを研究をしているG研究室にすごく惹かれました。実際に研究室を見学させていただき、研究内容や実験装置について、先生方に直接説明をしていただきました。また研究室の学生・院生の方々とも話すことができました。そして、熱心な先生方・先輩方と自由に議論し合える環境があることが分かりました。また、大学院の指導は、発想を広げて知識を得ると共に、測定技術や探求能力などを着実に身につけられるよう配慮されているように思いました。このように、研究室訪問ではパンフレット等では得られない生きた情報に触れることができるので強くお勧めします。また、生物の知識がないけれど、新たに生物物理にチャレンジしてみたい方は、研究ができるかどうか?という不安がきっとあると思います。大丈夫です。安心してください。大学院の講義や研究室セミナーなどで十分カバーできます。意欲があればあるほど、それに応えてくれるだけの環境が十分備わっています。そのおかげで、私も現在、充実した研究生活を過ごしています。ぜひ、受験がんばってください。応援しています。 

物質理学専攻(物理系)
博士前期課程1年 (H28年度入学)

私は、素粒子宇宙物理学専攻 素粒子物性研究室(Φ研)に所属していて中性子を用いた基礎物理の研究を行っています。大学院での研究は学部での授業や実験とは異なり、答えのない問いやまだ誰も知らないことに対して独自の方法を用いて挑戦することが求められます。最先端の研究というと華やかな世界を想像される方も多いのではないかと思いますが、研究そのものは内容により区々ではあるものの地道なことの連続であることの方が多い気がします。その地道な研究なくして物理学の進歩は不可能で、科学における文脈上非常に重要な意味を持つものだと思います。そのような機会に携われることが研究の醍醐味だと思います。大学院および研究室を選択する上で大切な点は、研究内容に興味があることは大前提なのですが、環境が自分に適しているかどうかも重要な要素であると思います。 そしてその環境とは案外些細な(往々にしてパンフレット等だけでは知ることのできない)ことだったりします。それを知るためにも色々な研究室を一度見学してみることを強くお勧めします。 

素粒子宇宙物理学専攻(素粒子宇宙物理系)
博士前期課程 1年 (H28年度入学)